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フローズさんちのPC事情
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はじめに。まずお詫びを。
「鬼.畜/眼.鏡.」という有名なあれをお題に書き始めたはずが、さっぱりそれっぽくなりませんでした。
寧ろいつものカスパール家のホームコメディの拡張版みたいになりました。
その辺り、真に申し訳なく。善処した結果がこれだよ!しょんぼりだネ!

それでも良いという奇特なお方は、どうぞ畳んだ部分からご覧下さいませ。


*:;;;;;:*★*:;;;;;:*



“小さな贈り物の日”
このペティットという街には、そんなイベントがある。
長老の誕生日を祝っての恒例行事だそうだけれど、仕舞にはハロウィンとごっちゃになりそうだというのが、今年初めて参加してみての、感想。
渡し受け取り流してまた受け取って、ぐるぐると回る“贈り物”たちは、思った以上に多く手元に残った。
その中の1つ、もう元が誰からの贈り物だか判らなくなってしまった箱の中に、【それ】は紛れていた……


こんな眼鏡、故意じゃなかったら何だって言うんだ。

 

「………と、そんなわけで。ここに何用だか解んない眼鏡が1つあるわけなんだけど」

片手で摘むようにして眼鏡を持ち、軽く掲げてひらひら。
一同を見渡して誰か要る?」等と問いかけてみたりもするが……
双子の片割れは栗鼠っ子と一緒にのんびりお茶を啜り、海鳥女は人形少女に手伝って貰い翼を丁寧にブラシで手入れ中、その足元では柴犬とカラーひよこ2匹が仲良くじゃれていた。
ちなみに何も植わってない庭では、黒兎娘と亡霊騎士が非常に派手な金属音を立てている。
何ともカオス。いや、無節操と言うべきか。

そんな中、パタリと小さく本を閉じる音と共に、おっとりとした風情で声があがる。

 

CASE1 リースの場合  変化なし


「まぁ… 丁度良かったわ。最近少し視力が下がって、細かいものが見辛かったのよ」

「(老眼…? いやいや、まさかそんな。考えてない考えてない。考えてなんて居ませんとも)」

バレットからの問い掛けに、何となく一同の視線が向いた中、読書中だったリースがひょいと手を差し伸べて、その眼鏡を取り、【それ】が何かも知らぬまま、装着してしまった…
………のだ、けれど。

「嫌だわ。これ、度が入ってないみたい……」

頬に指先を当てて溜息1つ。
【それ】のもつ効力は、まるで一切が発揮されなかったかのように、平常通り。
間にさし挟まった本件とは関わり無いが微妙に失礼な息子の思考は兎も角として。

「度が入ってないって事は、ファッション用の伊達眼鏡なんでしょうか?」

「うーん、そうかも?……それだったら、お兄さんが貰っとこうかなぁ」

ステラが大きな栗鼠尾を軽く揺らし、小首傾げつつ見守る中、眼鏡はリースからバレットへと返却された。


CASE2 バレットの場合 
眼鏡誤作動

「どーよ?似合う?」

「えー…、何かいや。何となくいや。」
「よく似合っていてよ、子猫ちゃん。“裏で悪い事してそうな”のは変わらないけど、表向きは“優等生”に見えるわ?」

「……それだと~、普段と変わらなくないですかぁ?」

片やナナは本当に嫌そうな表情を浮かべ、片やカティはからかうように流し目をやってクスクスと笑う。
その言い様には、ぽつりと弱めにコロネットが突っ込んだ。
けれど、本人は何故か沈黙を落とす。

しずかに。ゆっくりと。
ふつりふつりと魔力が篭って行くような沈黙を。
妙にどす黒いオーラが発散され、まるで暗雲を背負っているかに見える。

「うるさいよ…、馬鹿共が…」

極淡く、唇が動いて。
聞こえるか聞こえないかの、呟きが落ちる。
そして、その瞬間に ―――噴出す、増大した闇色の魔力。

「……俺への返事は“si”以外は認めない。」

「バレット…? どうしちゃたの?変よ、うぅん、変なのは普段から時々変だけど今は違う方向で、変よ?」

「口答えは許さない。」

「きゃっ」

不審そうに声を上げたナナへ向かって、無詠唱で細い一条の白雷が襲う。
突然の変容にあっけに取られた一堂は、避けさせる事も防ぐ事も出来ずに、人形の肌に僅かな焦げ痕を残した。


「勿論、問う事も、許さないよ。
ただ俺に従え、誰であろうと容赦はしない。
納得できずに手向かうなら、地に這わせてからゆっくりと教えてあげるから……」

その声は、うっとりと、まるで謳い上げるように。

「さぁ、誰から躾け直して欲しい…?」

くすくすくす。
唇を三日月形に吊り上げて、僅かに目を細めた、冷たく嫣然とした微笑を湛え。
零れる静やかな笑い声は、鋭く欠けた飴板のように、どこまでも甘くヒトを傷付けようと響く。
緩く持ち上げた片手の指先に雷を絡ませて、僅かに首を傾げて流し見遣る。
その様相は、もう、悪の魔術士そのもの。

まるで、その本質をひたすらS方向に突き抜けさせたような状態は、周囲の危機感を煽るに十分で。
咄嗟の防衛反応を各人から引き出す。
カティは即座にナナを横様に抱き上げて逃走体制。
一方、ひよこと柴犬を抱えたコロネットは、リースが紡ぎ出した結界の中に避難する。
取り残されたのは、無駄にあちこちの動きを見回してしまった、経験値の低いステラだけ。

「Σえ、わっ… 俺だけ逃げ場ないんですかぁぁぁっ!?」

「…なに、ステラ。逃げるだなんて。俺に追いかけて欲しいの?」

挙句に部屋から逃げ出そうにも、バレットをかわして行かなきゃ扉にも辿り着けやしない。
冷静に考えれば、獣人の、それも脚力にあるステラなら、気圧されさえしなければ十分に横を走り抜けられそうなものだが。
発散されまくる、悪の魔術士‥というか、もうそろそろ魔王クラスに‥なオーラに圧されて、ただオロオロと不安げに尻尾を揺らして。


「……あ… 眼鏡。眼鏡が変よ、変なの。きっとあれのせいで…!」

「ステラ君、取り上げて頂戴!」


「……気が付くのが――― 

      「は、はい! ……っ!うわっ!?」

                          ――――遅いよ…。」


リースの指示に答えを返すも、駆け出す暇もなく。
バレットの指先がつとステラを指し示し、若い栗鼠は雷で編んだ拘束術に捕らわれて、その場にへたり込む。
万事急須、あわや魔王爆誕かというその時。

たたっ‥ と、軽い足音が1つ。
そして、地を踏み切った音。 たんっ。

 Σ げ し ぃ っ

横様から飛んできた中段ドロップキック。
獣人戦士の身体能力VS低感知力魔法遣いでは、それこそ避けろというのが無理というもの。
げふっとか、肺から空気の漏れるような声と共に、クリティカルHITで床と一体化。
悪の魔術士はこうして滅びたのであった…

「呼ばれてないけど、飛び出てみちゃったり!エレナカレン参上~ぅっ!」

スタンッと華麗な着地から、くるりと半身振り返ってポーズを決める。
きらり☆ と、光る白い牙が眩しい。
アルミュールはどうしたのだろうか。放り出して来たのだろうか、後から大変なんじゃないのか。

「ステラ君、大丈夫~? っていうか、バレットおにーさん何事?どうしちゃったの?」

「なんだか、あの眼鏡が問題みたい、なんだけど…」

ひょいと、倒れたバレットの元から眼鏡を拾い上げる。
何か不気味なものにするように、指先で摘んだ。あまり触りたくないようだ、耳がぺたりと倒れている。
その扱いに不満でもあるのか、レンズがきらりと怪しく光ったような。
ステラはますます嫌そうに、そして困ったように、眼鏡を見て、そっとテーブルへ置いてみた。

「……いった~…何もこんな思いっきり蹴らなくったってさぁ…」

と、本体も本体で蹴られた脇腹をさすりつつ、文句言いながらゆっくりと身を起す。
復活の早い悪の魔術士である。
もやしの癖に。

 

CASE3 エレナカレンの場合 眼鏡が負けた!

かくかくしかじかと。軽く説明を受けたあと。

「ふぅ~~ん。おっもしろーい。私が掛けたらどうなるんだろ」

スチャリ。
後先など欠片も考えずに、エレナカレンは眼鏡を装備!
すると、どだろう。立ち上がった兎耳が、ふるふるとごくか細く震え始める。
それと同時に、眼鏡もカタカタと小さく振動し始め…
一同の注視するなか パリィィン と、澄んだ音を立ててレンズが
 割 れ た 。

「Σわっ えー、何で何で?故障?」

「……いや。これは故障っていうか……、多分…ねぇ?」

「うさぎちゃんの性格は、伝説のアイテムでも矯正不能って事じゃないかしら」

きょときょとと瞬くエレナカレンを眺めながら、非常に生暖かい目をしたバレットから振られて、ナナを姫抱っこしたままカティがばっさりとぶった切る。

「えー!? なにそれ、そんな酷い性格じゃないもん…―――」

不満そうに頬膨らませて、ウサ耳をぴこぴこやりつつ、文句を言い終わるか終わらぬかのうちに、

 がっ ガンッ! ばたーん!

まるでドアを破ったような、派手な音が響いた。
思わず肩を竦める者あり、毛皮を逆立たせるものあり、そして…

「Σ扉こわれたっ!?」

家の破損に嘆く者あり。
響き渡るアルミュールの怒声に、コロネットが1つ細やかに溜息を落とした。
これから、もう一波乱ありそうだ。




*:;;;;;:*★*:;;;;;:*


あとがき

F:……えー…今回は無駄にほぼフルキャスト。濃すぎる面々に伝説の眼鏡も形無し。で、お送りいたしました。
なんて言うか、遥翔さま卯月さまごめんなさい。鬼畜眼鏡難しかったです。
どうやら、私はSSなどで鬼畜キャラが書けないらしいという事が判明しました。
この後は、放置られてお怒りなあるみゅんを取り押さえるのに一苦労するんだと思います。
海鳥と黒兎で接近戦を展開、後方から双子の魔法で攻撃。というのは、全部ブラフで、本命の攻撃は「人形少女が飛ばす水晶玉での後頭部強打による気絶」しかも不意打ちで綺麗に決まる。だといいと思う。あるみゅん可哀想。


H:結局、あの眼鏡ってフツーの人にしか効果ないってコト?
B:或いは、家に回って来たのは模造品でパワーが弱かったとか(ぽそり)

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ナイスです。
リースさ(ry
たとえ老眼だとしてもむしろときめきましt。
そしてあるみゅん可哀想ww
やっぱりそういう位置が似合いますy(ry←

ナイスです、悪の魔術師。
ニヤニヤしました☆←
そしてエレナカレン嬢カッケー♪
ノイズ等PL 2010/11/26(Fri) 12:46 編集
鬼畜かぁ…
カスパール家の家長は流石、ということですね(*ノノ)<リースさん
そしてうっとりしてる悪の魔術師さんは色気爆発してると思います、女王様的な!(←

うちの店主で想像してしまいましたが胸の内にしまっときますね!
aica 2010/11/26(Fri) 23:03 編集
ゴチになりましtちょwww
色香駄々漏れな鬼畜お兄さんより黒兎さんに噴きましたwww
華麗にオチを決めたナナたん格好良い!

ウチの馬鹿共では無理ですが、ウチの紳士でやったら「鬼畜紳士」の称号を得そうだなとかほざきながら退場っ!
遙翔 2010/11/27(Sat) 02:57 編集
レス
>ノイズPLさま
ええ、あるみゅんは可哀想な立ち位置が似合います!
というか、バレットと最下層を争っています(笑)
そして嫁御はきっと仮性近視が始まってんだと思います。
あとウン十年したら老眼の危機でしょうが、多分まだ平気のはず…!


>aicaさま
ええ、家長なので!
うわぁい、有難う御座います~……って女王じゃないですよ!?
女王様はジュリエッタさんで、女王陛下はリァンさんですから、女王だなんて、そんなとても…。
って言うか、性別どこに棄てて来たんですか、うちのお兄さんは(笑)

しまっちゃ駄目です。それは公開するのが公共の利益というものです。
「鬼畜店主☆ポリシカ」是非とも一度お目に掛かりたく…!!


>遥翔さま
色気出せてて良かった良かった。
お兄さんはイマイチ鬼畜になりきれなかったみたいです。
黒兎は常時あんなハイテンションでお送り出来たらな、と。

是非とも「鬼畜紳士」を見てみたいのですが!
フローズ 2010/12/04(Sat) 00:50 編集
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メインPC:バレット・リング
重篤なバレットおにーさん中毒者。
ユーフェミア&レオポルドorエレナ&ディリーを復帰させたい。
悪役PCをやりたい病・新PCを入れたい病・イベントを起こしたい病に掛かっている。
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