2011.1.31~2.1にかけての危険地帯「名もない地下酒場」のロールを元に。
地下酒場から退場後の姿を。
おにーさんが相変わらず痛々しい。
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恋闇2
明るい場所で生まれた筈の子供は
毒の如き愛に浸され捨てられ魔に堕ちた
浅い闇の色をした寂寥に囚われた脆弱な魔は
銀の輝きに憧れて強く在る為に狐へ擬態した
そして狐は生まれた明るい場所へと戻るために
輝きを潜めてやる気のなさそうな灰色へと顔を変えた
やる気のなさを装った灰色であれば
人々の中にあり 何かを成し遂げることも出来ようが
せめて銀に輝く狐なら
誰かの手が 触れる事も叶おうが
脆弱な魔へと戻った時には
その崩折れた心 救われる事などなく
それが銀灰狐
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地下にあるその店から出て暫し。
闇と雷の気配を曳きながら、白い姿が影の中を横切る。
何処へ向かうという目的もなく、ただ足早にその場所から遠ざかる為だけに路地を行く。
真っ直ぐに迷いなく、風を切るような足取りは、だからこそ迷走。
苦悶悲しみ動揺嫉妬焦燥……入り混じり行き場を失くした感情が喉元までせり上がって、それを飲み下すのも早限界。
裏路地の端の、表通りにはまだ少し遠い辺りで、不意に足が止まる。
「 …………っ! 」
呪わしく言葉を吐く変わりに、鋭く息を詰め。
無言で横様に叩き付けた拳は、大きく壁を穿つ。
力ではない一撃、打ち付けた衝撃は響かない。
それでも大きく割れたのは、暴発寸前の魔力が破壊として顕現したからだ。
声を漏らしてなど遣るものか。
それはせめてもの意地であり、所詮は負け惜しみであると理解している。
理解しているからこそ、ただ無言のままに、それ以上何かに当り散らす事も出来ずに。
噛み締めた唇から、ぷつりと小さく血玉が浮く。
顔を俯け、打ち付けたままの拳を強く握る。
涙の代わりに、一滴の赤が零れて、土を汚した。
『傍に居られるのは俺だけで充分』
そう言い切れるだけの存在に成ろうというなら、どれだけ時間が掛かるだろう?
その間に、俺が――君が――壊れてしまわないと、何が保障してくれる。
俺が――君を――壊してしまうのは、君――俺――、――――。
何故俺は蛇より先に君を見付ける事が出来なかった。
もし、先に出会えたなら…
そうして過ぎた時を悔やむしか出来ないなら、この命に何の価値もない。
そうする事が必要なら、例え誰を相手に傅く事になろうとも。
血反吐の代わりに吐き出したのは愛を綴る言霊。
君なしでは生きていられない
「 Non posso vivere senza di te. 」
気が狂うほど愛してる
「 Ti amo da impazzire…!!」
余りに愚かで見苦しい。
ハ、と息を1つ吐き出す。流れた僅かな血を指先で拭う。
そうしてから、歪に口端を吊り上げて自らを嘲笑い、壁に押し付けた拳が緩む。
壁から手を引き戻し、足を止める前とは比べ物にならないような、重く大儀そうな足取りで歩き出す。
暗い灰色の眼に光が戻るのは、果たして何時になるのか。
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あとがき。
F:嫁姑戦争の火蓋を切ったは良いが、敗色のーこー。
B:………どうしようお兄さんスペック的に裏家業向きじゃないんだけど。
F:戦場向きだもんねー。でもまぁ、そこは頑張って?
メインPC:バレット・リング
重篤なバレットおにーさん中毒者。
ユーフェミア&レオポルドorエレナ&ディリーを復帰させたい。
悪役PCをやりたい病・新PCを入れたい病・イベントを起こしたい病に掛かっている。
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