まえがき。
このSSは「9月21日→22日の深夜・商店街にてのロール、その後」です。
拙い作ではありますが、興味をお持ちになって下さる方は、どうぞ畳んだ部分を開いて御覧下さいませ。
それ以外の方は、どうぞそのまま、そっとスルーを。
それでは暫しのお目汚し
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恋闇
掌へのキスの意味は、懇願―――
―――その淵の名は、恋闇。
よろけつつ、それでも急いで帰宅すれば、扉を蹴り開けて、家人の迷惑など顧みずに呼子を乱雑に鳴らす。
どうせ、この家でまっとうに生活しているのは義妹だけで、互いに遠慮するような間柄じゃない。
どこか遠くの方で、驚いたアレグロが吠える。
パタパタと2階から駆けて来る軽い足音、静まり返っていた家が、俄かに騒がしく。
魔力を無駄遣いして、エントランスから階段までの燭台へ、一気に灯りを点して階段へ向かう。
「もう、うるさいっ…… それって、オーラス、よね?どうしたの?」
「熱出してるんで保護してきた。風邪でも引いたんだろうけど……
水盤と水差し出して来てくれるかな、それと悪いけど後始末も頼む」
「………わかった」
立ち止まる暇さえ惜しんで、擦れ違いながらの会話。
ずっと魔具として常に行動を共にしていたナナは、俺の交友範囲の人物を一方的に見知っている。
夜中に喧しく帰宅した事を咎める前に、その異変に対応してくれた。
そのまま、俺は階段を上がり。ナナは台所の方へ。
2階の廊下の燭台も、また一度にその殆どに灯す。
通り抜ける為だけに、無駄に家中が明るくなっている。
どれが必要でどれが不要かなんて、選別している余裕がないんだから、仕方ない。
自室の扉も、やはり蹴り開けて、抱えて来た小さな体をベッドの上にそっと下ろす。
頭の下に枕を差し込んで、毛布を掛けて。それから、疲弊した肩を解すようにして一度回した。
一連の騒ぎでも目を覚ます様子はなく、ぐったりと静かに眠っている様子が、少しだけ不安を掻き立てる。
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ナナが運んでくれた水盤と水差しとグラスはサイドテーブルへ落ち着けて、上着を脱いでデスクの方へと放る。
面と向かって言うのは少し違う、けれど染み込ませるように告げたい言葉があった。
腕の中に囚えるように、眠る彼の顔の脇へと手をついて、ゆっくりと身体を倒す。
新品のベッドのスプリングが、体重の移動で僅かに軋んだ。
ただ覗き込むだけにしては近すぎる、触れようというには遠すぎる、零した吐息の熱までは伝わる事の無い半端な距離。
「 ―――ごめんね。」
起こさぬようにと思いつつ、小さく囁き掛けるのは、とても短く息詰まるような謝罪。
青灰色の眼と声音が、淡く不安定に揺れる。
誰かに想いを寄せれば、歯止めの利かなくなる己の性分。
それがいつか彼を、或いは彼の周りを、毒で蝕み壊してしまうかも知れない。
そうでなくとも、過保護な性質だから、息苦しい思いをさせるかもしれない。
普段はそれでも抑えているけれど、外側に溢れ出してしまった時に、すべてを駄目にしてしまうんだろう。
それでも、この温もりを突き放す事は出来なかった。
それどころか、これまでになく醜く嫉妬心や独占欲が渦巻いて。
どこであんな匂いを付けて来た。 ジリジリと焼け付いて光が冷える。
こんな熱を出して、どうして頼ろうとしてくれない… 締め付けられるように熱が灯る。
未だ海原色に縛られている癖に、繰り返す悪夢に安堵する癖に、何て愚かしいのか。
額に掛かる黒髪を指先で払い、自嘲の笑みを落としながら身を離す。
用意した水盤へと向き直り、冷水で絞ったタオルを額に乗せてやれば、少しだけ瞼が震えた。
ふと気付いて視線をもぎ取るように褐色の肌から離す、なにを凝視しているんだ。
そもそも薬や着替えも用意しなくてはいけないし、いつまでもこうして居る訳にもいかない。
扉は開けたまま、出来るだけ静かに、足音を殺して部屋から出て行く。
まずは、リネン室に突っ込んであるタオルや予備のシャツ類を取りに。
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コンコン‥
灯りを点して棚からタオルを取り出した時、静かに控えめにノックの音。
ひょこりと扉の隙間から顔を出したのは、ベビードールとドロワーズの部屋着に着替えて、髪を緩く纏めたナナだった。
意外な訪問に、思わず瞬きを1つ。
そんな僅かな間にすぐ隣まで近づいてきて、手にしていたアンプルを差し出す。
「これ、熱冷ましと栄養剤。風邪薬は無かったけど、熱が出てるだけならこれでも良いんでしょ?
わたしが、わざわざ、施療室から探して来たんだから。感謝してよね、感謝するわよね?」
「……超感謝する。流石ロンの姉。流石俺の魔具」
「よろしい。お土産は?」
「弾ませて頂きマス」
「ちゃんと帰ってくるよね… 大丈夫よね? 別にわたしは、それならそれでスクラップの所に行くから良いけど。……困るんだから」
これまでに怪我人を担ぎ込んだ事はあったが、病人は初めてで、だから気遣ってくれたのだろう。
声を潜めたままで交わす遣り取りは、やっぱりどうにも俺の方が立場が低くなってしまう。
最早、これは宿命か何かなんだろうか。
いつもは反発しがちなナナが、少し心配そうに言ってくれるのは、俺が抱えた海への妄執を誰よりよく知っているから。
「大丈夫だって。多分、もう平気だから…」
この腕に抱くのが虚ろでなく小さな稚けない願いなら。
船が居なくなってしまった船着場を眺めても、ちゃんと立っていられる。
それに頼りになる同行者がいるのだから、何の心配もない、はず。
オーロラ色の光沢を放つ髪を撫でようとして持ち上げた手は、いつもの様に中空で払い除けられる。
また今日も拒否られましたよ、お兄さんは。
「………。」(もう随分馴染んで来たと思ったのになぁ)
「………。」(馴れ馴れしく“妹”扱いしないでよね)
「………。オーラスだけど、明日まだ調子が悪いようなら引き止めて寝かせておいて。
月末までには帰るって伝言も宜しく。あ、そうだ、それと台所にあるパイの残りは明日誰も食べなかったら処分よろしく。アレグロには駄目だよ、たまねぎ入ってるから」
「それくらい自分でやりなさいよっ!」
「Σうわっ…。……留守を頼むね」
横あいの棚から、タオルがすっ飛んできて頭にぶつかる。
そして、荒い足音を立てて行ってしまった義妹の背中に、もう一声投げ掛けてから、部屋へと戻る。
目を離した隙に熱が上がってなきゃ良いけど……
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少し前までと、寝相が変わっていた。
寝返りを打った拍子にだろうか、タオルはベッドの上に落ちてしまっていて。
毛布を抱くようにして眠っている姿は、とても不安気に見えて…
タオルやシャツをベッドの足元に置き、アンプルはサイドテーブルへと、早々に手を開ける。
濡れタオルを絞り直して額に置いてから、少しでも和らげてやれればと、彼の左手を取って包むように握る。
そのまま、眠る姿の横に浅く腰掛けて、熱を帯びた頬をそっと撫でて。
「もう、何も心配いらないから……」
潜めた声で囁く。吐息に混じらせるようにして。
今はまだ、と。言われてしまったけれど、それでも。
ここに休める場所を作って待っているから、この場所を脅かすものは近づけさせないから。
だから、どうか。もっと俺を求めて。俺だけに頼って。ああ、それでもまだ足りない。
はやく深くへ堕ちておいで。俺の棲む、この淵まで…
包み込んでいた小さな手を引き寄せて、掌にそっと口付けを落とす。
頬を撫でる手も、注いだ視線もそのままに、僅かに触れるだけのそれを。
「―――、ごめん…」
愚かしい思いを。願いを。
赦しを求めたいとは思わないけれど、謝らせて。
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F(フローズ) B(バレット) で。あとがき。
F:やらかした感があるね!(爽笑)
B:ああ、まぁ、それなりに。長いしねぇ、いつにも増して(溜息)
F:うむ。前半戦だけで一度力尽きたので、半端に終わった。で、この後は、妖怪ノンケイーターとしては?
B:あとは解熱剤を飲ませたり、タオル変えたり、着替えさせたりしつつ、朝方まで傍で看病してた。
普通にね!普通に!お兄さん何も疚しい事はしてないよ!ちょっとモノローグがアレなだけで!
F:まぁ、そうだろうね、ヤンデレどうこう以前にヘタレだもんね。意識ない相手を着替えさせるとかナチュラルにセクハラな事はしても、鬼畜い事は出来ないだろうし~♪
B:ところで、ここに伝説のアイテム「眼鏡/装備効果:+鬼畜」があるんだけど……
F:Σ(Φ×Φ;)逃走加速っ!(光の速さで逃げ去った)
B:……あー… で、後半戦は書くの?(眼鏡をピラピラさせつつ)
F:(どっか遠くの方から声だけで)余力がありません…!
ここまでお付き合い頂きまして有難う御座いました!
そして素敵だと思いますノンケイーター。
けしからんもっとやr(ry☆
ただ、眼鏡装備も見たi(ry
バレットさんはやっぱり良い萌えです。
さすがですフローズさん、アナタも神です!
ていうかノンケイーターってw
「鬼畜お兄さん」て響きが大変素敵なので是非装着しt(殴)
因みにナナたんはウチの馬鹿の『お姉ちゃん』ですから!(某氏の『子供』になった順番として、ロンが一番最後なので)
>ノイズPLさま
日付みてびっくりです。こんな放置倉庫なのに投下当日に…っ!?
よーし、調子に乗ってもっと!やる!……わけにも(浮気はイカン/笑)
そんな卯月さまこそ萌えですとも。眼鏡装備… 善処します☆
>ロンPLさま
でも、某氏には勝てないと思いまーす☆
だって、Petitで出来た前の恋人もノンケ男子だったんだもの。引き摺りこんでるみたいで(笑)
おおっと、こちらでも眼鏡コールですか。善処するしかないですね。
Σそうでしたー!素で間違えましたスミマセンッ!(平伏)
チャットでは軌道修正したですよ。こっちも書き換えて置こうかな。
>オーラスPLさま
こちらにもコメント有難う御座います!
そしてSSまで公開して頂いていてあわわなのです。
その辺りもいつかそのうちじっくりゆっくりうふふふふふh(ry
メインPC:バレット・リング
重篤なバレットおにーさん中毒者。
ユーフェミア&レオポルドorエレナ&ディリーを復帰させたい。
悪役PCをやりたい病・新PCを入れたい病・イベントを起こしたい病に掛かっている。
ペティット参加者様に限り「リンクフリー」&「うちの子ご自由にお使い下さい」