…恐るべき恥ずかし死に企画第一弾。
作成時期は、2010.上半期。バレットと前の恋人の話です。
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秘め恋
言える訳が無いじゃないか。
あの時、血の気が引いたのは心配だった以上に……
血に濡れて恍惚とした横顔に恋情を掻き立てられたのが恐ろしかったからだなんて。
言える訳がない。
赤い血を舐め取る舌が、その舌の這う白い指が、微か震えた姿が……
何もかも酷く俺を煽って、苦笑で誤魔化すしかなかったなんて。
言える訳がないんだ。
散々トモダチ面をしておいて、こんな事…………
深夜の海辺。
砂浜を横目に岩礁地に入り、身の軽さを生かして、突端近くまで辿って行く。
辺りを見回して人気が無いことを確認してから、岩と岩の間に隠れるように降りた。
吐く息には甘い酒精の香りが混じり、頬に差す僅かな朱は酔いのせいなのか、心の内に渦巻くもののせいなのか。
「──あぁ……」
密やかに零した吐息は、常になく甘く。
海の匂いに包まれ、うとりと目を閉じた。
海は想い人の彩。
絆を紡いだのは海辺から。
彼の暮らす場所、彼が夢を抱いた領域。
伝える事のない恋情を込めて、その名を呟く。
「アレクシード…」
脱力したように岩礁に背を預け、ゆるりと瞼を引き上げて、首元へと手を。
そこには、彼から送られたプランシェットが、金属質の光沢を放って揺れている。
それは“友情の証”。皮肉な事に。
繋ぐ縁は恋情など差し挟む余地のない程に、堅く厚い友情なのだ。
摘み上げれば、雨に冷えた金属に指先の体温を僅かに奪われる。
その冷たささえ、彼を思わせて、苦笑気味に眉を寄せるしかなくて。
雨雲に覆われた空へと、月の光を請うように、翳す。
「好きだ。――なんて、言ったら…君はどうするんだろうね」
目を細めて漏らした呟きは、頼りなく掠れて…。
今となっては、軽く触れる事さえ怯えさせそうで躊躇われる贈り主の身代わりに、祈りを捧げるかのような優しい口付けをプランシェットへと。
微かに震えた唇が、音も無く、もう一度彼の人の名を―――
言える訳が無いじゃないか。
言える訳がない。
言える訳がないんだ。
散々トモダチ面をしておいて、今更…………
あとがき
B&F:恥ずかしいです。(第一声ハモリ)
B:Σちょっ、古い恋話晒されるお兄さんの方が恥ずかしいっつーの!
F:今更間溢れ過ぎてきっと通じる方少数なブツを展示するPLも恥ずかしいです。
まぁ、あれよ? このお話天候が前置きしてなくて、唐突感があるあたりがPL的には恥ずかしい訳なのよぅ。
B:手直しすれば良いじゃんそれくらいっ!?
F:い・や☆
メインPC:バレット・リング
重篤なバレットおにーさん中毒者。
ユーフェミア&レオポルドorエレナ&ディリーを復帰させたい。
悪役PCをやりたい病・新PCを入れたい病・イベントを起こしたい病に掛かっている。
ペティット参加者様に限り「リンクフリー」&「うちの子ご自由にお使い下さい」